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2010.10.27

静謐な印象の

 お品書き:「夜市」「願い」「オルゴォル」


夜市:楽天ブックス
 恒川光太郎の、これがデビュー作? ホラー大賞を獲ったのに全然ホラーじゃないよ怖くないよがっかりだよ、というレビューを見かけるのも納得、怖がりさんでも安心の、幻想奇譚とでも呼びたい物語でした。
 表題作は、異なる世界、あるいは世界の狭間に立つ市へと紛れ込んだ者の辿る道を描いたもの。ハイ・ファンタジーでは度々目にする「何でも売っている闇市」が舞台なわけですが、土壌、風土がしっかりと「日本」していて、それでいて異国的情緒もあって、なんとも味わいのある雰囲気に。少しばかりの哀しみを残す物語のたたみ方も、だいぶ好みです。
 同時収録の「風の古道」も実に良かった。というか、二編に共通して、物語に「曲がり角」がたくさんあるのが、面白い手法だなあと。そろそろ長編も読んでみたい。


願い:楽天ブックス
 文学な感じですが、いつもの苦手意識は発生せず。
 願い、をテーマとした連作集。9編収録で、ひとつひとつが短めなのは、集中力が途切れなくて良いかも。どの話も、生きることに無器用な感じの人々が主人公で、感情移入しやすかった。ぷちんと切れる終わり方もまた、人生ってそんなものだよな。願いは叶ったり叶わなかったり思ったのとは違う方向に叶ったりするもんだよな。と思わせてくれて、しみじみと。なかでも「妹が欲しい」と願う話が、若干オタクの入った主人公のキャラもあって、面白く切なく楽しかった。


オルゴォル:楽天ブックス
 装丁、物語の始まりを見て、一瞬児童書なのかな? と思った。実際、小学校中学年から中学生くらいなら、普通に読める内容かな。
 老人に託されたオルゴォルを届けに、東京からはるばる鹿児島へと旅をする小学生。童話めいた綺麗なお話かと思いきや、主人公少年は旅費として貰ったお金を使い込んじゃうし、母親は給食費を滞納中だし、出てくる大人はみんな嫌な感じで、どうしようかと思った。しかしそこから旅によって揉まれ、洗われ、成長していくのがポイントなんだな。福知山線の事故跡や原爆ドームを巡っていくって、どんだけヘビーな……。
 最後にはささやかな奇跡めいた演出もあり、給食費もちゃんと支払って、爽やかな幕切れでありました。
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