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2011.10.15

本命とかで

 狙いを定めて読んで、それが確かに面白かったときの嬉しさとか、たまんないですね。
 しかしアニメとかゲームと比べて、時間あたりのインプットコストパフォーマンスが段違いすぎる。と、痛感する。

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折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
 今年、いろいろと本命じゃないでしょうか。というかそろそろ取りましょうよこのミス。ねぇ。
 ファンタジーというか、12世紀末を舞台に、一応は歴史の枠組の中に収めつつも、魔術や呪いといったものが存在する世界。そこで起こった「呪い」による殺人事件。
 魔術やら暗黒騎士やら呪われたデーン人やら、心ときめく要素がいっぱい。普通にファンタジー小説として読んでも充分に面白いけれど、あくまでも「ミステリ」であるという。魔法が在る世界で、魔法によって殺されたのに、犯人探しはあくまでも「推理」「論理」に因るとか、燃えるじゃないですかぁ。
 探偵役の騎士&ワトソン役の従士をはじめ、けれんみたっぷりの登場人物たちもまた、全員が魅力的。傭兵たちの造形の素晴らしさ、呪われたデーン人の怖ろしさと哀しさ、語り手である領主の娘のしっかり者可愛さ。
 しかもすべてが無駄にならず、終盤の戦いのシーンでは各々の戦いが活写され、「全員集めてさて」と言うシーンにおいてその戦闘すら伏線となっていたことに気づかされたり、最後の最後での引っくり返しやら……読み終えて、ため息しか出ない。そんな一冊でした。
 ミステリであり、ファンタジーである。そのことをしっかりと許容できる人には、たまらないご馳走です。逆に、「ミステリだと思ったらファンタジーじゃねーか!」とか「ファンタジーだと思ったらミステリじゃねーか!」と思うような人には、おすすめ出来ませんが。
 ところでこれ、元々は純然たるハイ・ファンタジー・ミステリとして書かれていたそうですが、当初の雰囲気はやっぱりあれかしら。オウガバトル的なあれだったのかしら。それはそれで、見てみたかった。

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空へ向かう花 (講談社文庫)
 以前読んだ「空を見上げる古い歌を口ずさむ」が面白かったので。この作品はまた趣が変わり、超常現象はなく、ごく普通の人々をめぐる物語。
 事故により同い年の女の子を死なせてしまった男の子。匿名の嫌がらせに疲れて自殺を思った時、ひとりの女の子によってそれを止められ、けれどその女の子もまた虐待された過去があり……と、まあ、発端部分は安易に暗い物語にしているのか、と思わせられるのだけれど、柔らかな語り口と、主人公の子どもふたりが、昨今のアニメやマンガのように簡単に捻くれることなく、ただやわらかな心ゆえに戸惑い、傷つき、ある時は柔軟に跳ね返し、ある時はそのままえぐられる様子が自然、かつけなげで、切ない。しかしときに逞しい。
 少年と少女の傍で支える大人がまた、人間の性は善なるもの、と思わせてくれる、本当に佳き人であるあたりも、ほっとさせられる。「空を見上げる」でも思ったけれど、大人を変にゆがめたりしない、正統派ジュヴナイルの文法が正しく守られていて、読んでいて心地良い。
 それでいてご都合主義的に上手く行くわけでもないし、心無い大人も存在するけれど、バランスの取り方がとても好みだなあと。
 面白かった。ひとつひとつの言葉、文章ごとに、誠実な気持ちがちゃんと込められている。そう感じられる作品でした。
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