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2015.09.22

何年のお付き合いでしょうか

 確か「あ~る」のサンデー連載中からだから……(かぞえるのを やめた)。


白暮のクロニクル(6) (ビッグコミックス)

 ゆうきまさみの描く作品はだいたい好きで、それは激しい萌えではなく、じんわりと、しみじみと、月日を経ても付き合っていけるなぁという種類の「好き」で。
 ゆえに、前作の『鉄腕バーディー』は、完結してからまとめ読みしようと思っていたのですが。最後の最後、最終盤になって、展開を急ぎ過ぎた……打ち切りにも近い形になってしまった、という悲劇を知り、今後はちゃんと発売直後に買うことにしようと決意し、1巻から発売初週購入でお付き合いしております。
 一冊完結で、読みやすい、キリがいい、というのも多分にあるかな。
 毎巻のエピソードにはしっかりとけりをつけつつ、大きな一本の柱となるストーリーがある。とても好みの構造です。
 ミステリーとしての構造、体裁。オカルトとしての味わい、飾り付け。いずれにせよ核にあるのは、丁寧で上質な絵に基づく、人間ドラマ。
 作者のツイッターアカウントをフォローしていると、時事問題や世相に対する姿勢、考え方というものがある程度伝わってくるので、そのへんが作品内での描かれ方にも如実に反映されていることにニヤリとするのがまた、いまどきらしい愉しみ方であります。

 今回はメインストーリーの進展が大きく(毎回なにがしかは進展していますが、過去エピソードではなく作中の人物関係が現在進行形で「進んだ」のがとても前進感ある)、エピソードの完成度、サブキャラクターの魅力とも相俟って、読み終えてしばらく余韻に浸ってしまいました。
 ニヤニヤできる部分有り、ぞっとする部分有り、謎解きの楽しさ有り、伏線の技有り。一冊のコミックスから、これだけ与えて貰えるのは、本当に嬉しい。幸せ。贅沢。

 毎巻、エピソードの解決と次への引きが、一番最後の数ページにぎゅっと詰まっているのも凄いんだよなぁ。多分、雑誌連載ということもあって、最終話を一話読んだだけでも面白く感じるため、興味を繋ぐため、なのでしょうけれど。
 その分、余韻や後日談といったものが若干物足りなく思うこともありますが、そこは巻末四コマでカバー。されていると、とても落ち着きます。それが無かった前の巻は、やはり、少々淋しかったので。

 ともあれ、今回はきっちりと、納得のいく完結まで運ばれていったらいいなあ。
 という祈念をこめて。
2015.09.16

名残りを

 あとがきを見るに、やっぱり、消化不良な部分もあったんだろうなぁ。


オルガの心臓(3)<完> (KCx)

 全3巻、完結。
 伏線の回収が唐突であったり、拾いきれていないように感じる部分もいくつかありますが、ストーリー本体とメインキャラクター達の葛藤は綺麗に解決して終わりましたので、じゅうぶんに「読み終えた」満足感はありました。
 性格と過去と言動が複雑骨折を起こしまくってたニトくんをもう少し眺めていたい気はしたけれど。

 少女マンガ系のこういう「SFファンタジー」とでも呼ぶべき作品は、だいたいにおいて、内面的な話になっていくのが面白いな。と、つらつらと。
 男性向けコミックの場合、世界の成り立ちや仕組みが暴かれて、その中で揉まれつつ葛藤していく主人公達、という構図になるところ、少女・女性向けの場合、誰かの心の闇、過去に受けた傷、その中に深く深く潜っていく主人公達、という展開になるのがスタンダード。の、ような。
 はっきりと男性向け・女性向けと区切れるレーベルほど、顕著になる……ように感じます。
 どちらが良い悪いという優劣を言っているわけではなく、傾向として、面白いな。と。

 この物語の場合、ニトとオルガというふたりの主人公について、そのへんの「内面からえぐっていく」醍醐味を存分に味わうことが出来たというか、そこがやはり本筋であったというか。
 もしかしたら作者としては、作中登場する画期的な人工心臓、それが起こすイノベーションについて、SF的な思考実験をもう少し掘り下げる構想もあったのかもしれないし、だとしたら残念ではありますが。
 人物を描き起こす、ひとつの物語としては、必要十分な「語り」を与えてくれました。

 美しくしっかりした絵といい、ところどころで見せてくれた爆発的な盛り上がりといい。これが初の本格長期連載ということで、今後の作品にも期待したい、期待してしまう漫画家さんが増えました。
 次回作を楽しみに。今は浸って、しばし読み返します。
2015.09.13

凝り固まったまま

 自分では理解しているつもりで、全然そうでもない。気づかせてくれるフィクションというのは、貴重であり。


弟の夫 : 1 (アクションコミックス)

 一度きちんと読んでみたいと思いつつ、敷居の高かった作者の、初の一般向け作品。そりゃもう飛びつきますとも。発売前後からTLでの人気と評価も高かった。
 そして、期待にたがわぬ面白さでありました。のみならず、主人公とともに、自分の認識の甘さ、足りなさを殴られることがしばしばあって。

 弟の「夫」。であれば、「弟」=「お嫁さん」なのかな?
 そんな「役割」に閉じ込める考え方、うん、普通にしてた。

 どちらも「夫」です。
 そんな単純明快な答えに、辿り着けない。固定観念というものは、意識せぬ場所に存在する。気付くまでは意識できないからこそ、固定観念。なんだろうなあ。

 少し前、よしながふみの『きのう何食べた?』の中で、主人公の母親が、自分の息子が女役(というか女装役という認識?)かどうかで気を揉む描写を読んだ時には、随分と頭の古い、頭の固い。などと偉そうに思ってしまったものですが、省みるとなんとも恥ずかしい。

 知らなかったこと、意識できなかったこと、見落としていたこと、見ないふりをしていたこと。そういったことに、主人公とともに、少しずつ触れていける。目を開かされる。
 そうしたLGBTへの理解を深めるという意義を置いて、普通にマンガ作品としても面白いです。弟の夫ことマイクの人物像の魅力的なこと。それに戸惑いつつ接する主人公の弥一の人間くさいこと。天真爛漫で正面突破な娘の夏菜ちゃんのかわいいこと。
 それぞれの心の動きを、表情やちょっとの言葉のやりとりで丁寧に綴っていて、ヒューマンドラマとしての面白さは存分。
 さらにラストにちょっとしたひっくり返しがあって、引きにもなっている。
 面白うございました。勉強になりました。楽しゅうございました。
 自分にとって、とても豊潤な一冊。
2015.09.08

佳境

 過去作品が面白く、現作品も面白く。なかなか難しいこと。


スピリットサークル (5) (ヤングキングコミックス)

 1巻から面白く読んでいましたが、物語が佳境に入り、さらに面白さが加速。どこまで面白くなっていくのか、空恐ろしい……。

 輪廻転生を主題とした物語は、古今東西星の数ほど紡がれており。
 そんな中でどこに力点を置くのか、どのように見せていくのかが課題となるわけですが、この作品の場合は繰り返しの転生が複数の時代、複数の世界に渡っており、各々の物語と世界がそれだけで一個の物語が作れそうなほどに確立されて魅力的であることが、まず一番の特長かと思います。「こんなにきっちり作ってあって勿体ない、単独の作品にできそうなのに」と思うこともしばしば。
 それを贅沢に「スピリットサークル」という作品の傍流として組み込んでしまう。なおかつ、ただのサブエピソード的なものでは終わらず、おそらくどの物語も最終的に必要不可欠な要素として構築されるパーツなのだろうな、と思わせてくれる。
 しかし毎度きっちり現代に戻ってきて、フィードバックもあること、そして最初から提示されている主人公の清々しさ、潔さ、いい子っぷりが、立ち返るべき場所を明確に示してくれて、良い意味での安心感を常に持っていられる。
 作品への、主人公への、信頼。

 この安定感は、『惑星のさみだれ』では感じられなかったものだなぁ。あれはあれで、逆に、不安定さ、不穏さを楽しむという部分がありましたが。
 いずれも同じは、作者の紡ぐ空気に浸りこんで、転がされて、読むことの楽しさを感じられるということ。
 存分に楽しませていただきます。堪能させていただきます。
2015.08.23

少し前に読んだもの

 今になっても読書メモを残しておきたいと思う。それだけ気に入ったもの。


[まとめ買い] 満ちても欠けても
 取材から入る、ジャンルから入るマンガ。多いんだよなぁ。職業とか業界とか、まず素材を決めて、作者に取材させて、という企画先行もの。業界のことは良く知らんですけれど、漫画家自身の企画よりも、こういう編集主導の企画の方が、作品の絶対数として多かったりするのかしら。
 しかし、そこから素敵な出会い、素敵な作品が生まれることもある。
 ラジオを題材とした作品。ひとつの名物番組を軸に、そのスタッフ、リスナー、局内の職員等、オムニバス形式で話を広げていく。一篇一篇の独立性の強さ、完成度の高さが、とても読みやすい。反面、全編「いい人」しか出て来ない、理想的すぎる、という点においては、好みが分かれるかもしれない。
 けれど、このあたたかさを心地良く感じられたなら、大切にしたい一作になると思う。
 どの話も短編としてまとまっていて、最後には最終回とそれにまつわるカタルシスもあって、通して完成度は高いですが、中でも白眉は、野球実況のエピソードだと思います。何度読み返しても、にこにこ、にやにや、じんわり、しみじみ。泣けてしまう。あとがきによると、このエピソードの為に、実況アナウンサーに直接取材をし、隣に座って実況を聞くという贅沢な経験をなさったそうで、それが見事に結実しているな……と。
 プロの力量。底力。作品の内外に、それを感じられる。
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